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99年8月 FM上越に出演した時の内容です。
私は農業を昭和35年より始めました。
当時は18歳で、1.6haの稲作専業農家です。親の農業をそのまま受け継ぎました。
その後高度経済成長と共に規模拡大に取り組んできました。当時肉牛の多頭飼育も10年くらいやりました。昭和45年頃から他の農家のサラリーマン化が目立つようになり受注委託が増え、我が家の現在の耕地面積は28haを超えています。
でもここでちょっと変だなと思っている事があるんです。当時より15倍も面積が増えているのに相変わらず経営はギリギリで、やっと維持できている状態っておかしいと思うんです。農業には自然環境などの豊かさが内包されているはずなのにです。
それとは対照的に日本の経済は急成長を遂げました。
しかしです。豊かになろうとして一生懸命に働いた結果、今では自然を破壊され環境境染は深刻になり尚も経済がおかしくなり多くの人々が不安な思いを拭い去る事ができません。それってなんでだろうと考えてしまいます。
それはやっぱり安定的に生きて行くための社会の仕組み、理念に問題があるように思います。自然、生命、農業を破壊してまで作ってきた現在の経済を改め、自然環境を守り復活していくような経済に切り替えていく必要があるのではないでしょうか?
生命は自然にゆだねられているのであり、生命を育む有機農業は重要なカギを握っていると思います。有機農業とは自然を壊さずに逆らわずに更に人間にとっても子々孫々にまで維持しつづけられるものでなければなりません。
それが有機農業だと私は思っています。
それに対し現在の農業は化学肥料農薬技術と言われています。環境ホルモンの3分の2は農薬だそうですし、単位面積当たりの農薬の使用量も世界一。しかも食糧自給率は3割を切っているます。急いでこの不安定な状況の中で有機農業を復活しなければなりません。
現在の農業の世界では化学肥料農薬技術による呪縛が未だに残っていますが、この呪縛を解くには農業者自身がどう豊かに生きたいかの基準を考える事だと思います。
そこで私は豊かさの条件を考えてみました。それは・・・
「一、健康」「ニ、人との交流」「三、文化」です。
健康ですがこの事から考えると農薬は大敵です。
100%使わない、それが生態系を守る事にもなります。
人との交流は人間一人ではつまらない。大勢の人と良い付き合いが出きる人間環境の基盤が農業には潜在的にあります。それは自然の環境の中に生きているから・・・。
また文化ですが先人は素晴らしい哲学、芸術、知恵等の財産を残してくれています。
学ぶにキリがありません。
とまぁこのようにいろいろ考えた時、例えば目の前に農薬があったとしても自分の生き方次第でそれを使う使わないという判断に相当の差が出てくると思うんです。
つまりは自分の生き方や理念がそのままその人のスケールとして出てくると思います。
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